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京都地方裁判所 昭和61年(わ)1155号 判決 1987年5月21日

(一)

本店所在地 京都市南区久世東土川町三九八番地の三

法人の名称

佐川印刷株式会社

代表者氏名

木下宗昭

(二)

本籍 京都市左京区南禅寺下河原町二九番地

住居

右同所

職業

会社役員

氏名

木下宗昭

生年月日

昭和一八年五月一九日

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中村雄次出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人佐川印刷株式会社を罰金五、〇〇〇万円に、被告人木下宗昭を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人木下宗昭に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人佐川印刷株式会社(以下被告会社という。)は、京都市南区久世東土川町三九八番地の三に本店を置き、印刷業を営む会社であり、被告人木下宗昭(以下被告人という。)は、右会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人は、右被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五七年七月一日から同五八年六月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は一二億二、四九四万〇、九八六円で、これに対する法人税額は五億一、〇三九万九、五〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上、公表売上金額を減額するなどの決算操作を行い、さらに従業員から徴収した給食費を除外して簿外預金を蓄積するなどして右所得金額中三億一、一四二万六、四三三円を秘匿したうえ、昭和五八年八月三一日、京都市下京区間之町五条下る大津町八番地所在の所轄下京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告会社の所得金額が九億一、三五一万四、五五三円で、これに対する法人税額が三億七、九六〇万〇、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一億三、〇七九万八、六〇〇円を免れ

第二  昭和五九年六月二一日から同六〇年四月二〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は一七億九、七一四万七、二一三円で、これに対する法人税額は七億六、八九一万三、八〇〇円であったにもかかわらず、前同様に、公表経理上、公表売上金額を減額するなどの決算操作を行うほか、期末棚卸商品及び製品の一部を除外するなどして右所得金額中二億五、九二八万八、七六〇円を秘匿したうえ、昭和六〇年六月二〇日、前記下京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告会社の所得金額が一五億三、七八五万八、四五三円で、これに対する法人税額が六億三、〇六二万五、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一億三、八二八万八、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(検第九七号)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通(検第八三号、第八四号、第八六号ないし第九一号、第九三号ないし第九五号)

一  北村善和の検察官に対する供述調書

一  北村善和(一一通、検第一六号、第一八号、第一九号、第二一号ないし第二五号、第二七号ないし第二九号)及び木下豊子(四通、検第一〇号、第一三号ないし第一五号)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検第七二号、第七九号)

一  北村善和作成の確認書と題する書面(検第七一号)

判示第一の事実について

一  津山公子(二通、検第六四号、第六五号)及び上西斎(検第六六号)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検第七三号、第七八号)

一  北村善和作成の確認書と題する書面(検第七七号)

一  大蔵事務官作成の証明書(検第四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第七号)

判示第二の事実につき

一  木下豊子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(検第一一号、第一二号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検第七四号、第七六号)

一  田中潔作成の確認書と題する書面(検第七五号)

一  大蔵事務官作成の証明書二通(検第五号、第六号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第八号)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも、被告会社の関係では法人税法一六四条一項、一五九条一項、七四条一項二号に、被告人の関係では同法一五九条一項、七四条一項二号に該当するところ、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人についてはいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により免れた法人税額を合算した金額の範囲内において罰金五、〇〇〇万円に、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年二月にそれぞれ処し、被告人に対しては、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 青野平)

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